【建物設備の諸規制と諸官公庁への手続き】
 経営計画が厳しい時代には以前のようなズサンなスクラップアンドビルドは避けなければならない。

◆既存建物の増改築での留意点
 一般的には建物の耐用年数(減価償却期間)がまだかなり残っている場合に適している戦略である。空調や給排水設備についてはほぼ15が耐用年数でメンテナンスが悪いと大きな故障を起こして手術や夜間では大事故につながるので定期点検の上、やり替えなどが必要となる。建物は概ね30年経過すると機能的にも支障を来たすようになってくる。例えば構造的には耐震基準の強化、消防法上では避難上、又は火災予防の観点からの改善指導、機能的には病床当たりの面積や廊下巾、外来部門のサテライト化や診療科目の再編成、薬局の院外化、リハビリ部門の強化、新しい医療機器設備の導入、アメニティ上からの個室化などへの対応に限界を生じ大巾な増改築などが必要となるため、入院や外来の患者さん達への不便や振動、響音など大迷惑をかけることとなり、むしろ壊して全面建て替えをした方が安価にして且つ出来栄えも一新されて効果的となる。ただし、敷地が狭く建ぺい率や容積率が既存建物でめいっぱいであると何回かに分けた増改築となるので工事期間や工事費が高くついてしまうので他敷地へ移転することも考えたい。特に一時期、病床を減らす為、職員と余剰が出て患者減と共に莫大な費用が出るので充分な対策が必要となる。 跡地利用では有料老人ホームやリハビリ施設等への転用も考えられるが買い資産の適用で売却し、新しい土地の購入の一部資金にすることも考えられる。又新規土地購入後にファンドによる土地活用も一考である。

◆新規土地への移転を計画する場合
 まず、地域医療計画における医療圏内が条件となる他、敷地選定にあたっては以下に留意しておくことが重要である。交通の便、地方においては公共交通機関に頼ることよりも車の便を考えるべきで駐車場をしっかりと確保しておくことが重要である。市街化調整地域、農業振興地域などでは購入の前に開発行為や排水の規制など充分に検討した上で決定しなければならない。また、史跡や遺跡の出土によっては開発が相当期間凍結されるので注意を要する。都市計画区域では工業地域、工業専用地域、第一種住居専用地域、農振地域には建てられない事や、用途地域や周辺道路巾員によっては建物の面積や高さ、日影規制などがあったり、敷地内に農業用水の河川や農道があったり、農漁業水利のために排水ができなかったり、軟弱地盤や大きな点石、遺跡などが発見されて予定していた規模や予算、工期に大きな狂いや支障が出る恐れもあるので充分留意しておかなければならない。