激変する医療改革の中、今こそ戦略的な病院づくりを! その9              

 第2稿にて記載の通り、診療報酬は2002年度▲2.7%、2004年度▲1.0%、2006年度▲3.16%の減収で、なんと足掛け6年間、収入減であり、この事は一般企業では到底持ちこたえられない経営状況である。医療機関だから持つのか、医療機関に何か秘密があるのか、何とも不可思議な経営体、事業体である。6年間で6.86%の収入減は事業を維持するためのコストパフォーマンスとしては致命的な減収である。医療機関は資格者の人員配置基準があり、人員減等のコスト管理は事実上、不可能である。それでも維持、経営、運営しているのは何か特別な体質があるのか、何とも不思議な事業体であり、私自身理解出来ない思いである。2002年の減収の折、かなりリアグレッシブな対策を策定し、実施した事は既に以前の稿で紹介した。増収策と経費減の実施で、この折の減収はカバー出来た事例である。その後の対策として、私の経営対策は「部門業務管理」の実施であり、対策である。「部門業務管理」とは正直な点、すこぶる消極的な経営対策である。従来の経営対策で実施出来た事は将に医療分野の黄金期、成長一路の頃の規模の拡大(診療分野の拡張、増床等)であり、又、併設施設の開設、展開であった。1990年からのゴールドプラン10、そして続くスーパーゴールド5がそれである。増床も計画、実行が実現、新病院の開設も続出した。現在のメガ・ホスピタルグループ生誕の時代である。しかしながら、「医療計画」施行後は施設の新増設は不可、つまり増床という経営資源の拡大は不可となった。併せて各併設、関連事業の開設運営も計画の整備が進み、ほとんど不可となった。かくして施設の増、規模の拡大による増収対策は困難となった。そこへ追い討ちの如き、毎回の診療報酬の減であり、医療改革による病院全体・各部門の各しばりの実施指導による事業体としての硬直体質に追い込まれている現状を見るに至った次第である。

 以上の経過の中から、経営対策として「部門業務管理」の実施による、いささかなりの増収対策と、積極的なミス・ロス防止によるコスト、カット、コスト、チェック体質を醸成する事で対策実施を展開するに至った訳である。「部門業務管理」とは、従来病院全体で対策したものを細分化し、部門単位にて経営対策を実施しようという体質づくりである。つまり、「部門管理者」は「部門経営者」である事を要求される。部門単位にて事業の経営資源たる「ヒト・モノ・カネ・情報・サービス等」を管理し部門経営の責任を全うする事を要求される立場である。故に「部門経営者」である所以である。

 次回その手法の紹介を行う。実は現状、「部門業務管理」から「部門予算管理」に移行し、指導している段階ではあるが段取りとして「部門業務管理」から紹介する。

 健斗を祈る

 強い病院づくりを楽しもう