激変する医療改革の中、今こそ戦略的な病院づくりを! その10
『部門業務管理』導入と運営手法について説明したい。当稿にて再三指摘しているように事業体としての医療機関の経営本質はトップ-ダウンである。トップあるいは一部のトップクラスが決定した課題を各部門に下ろし、実施させるプロセスが通常の業務運営の実態である。ここには職員は当然の事、各部門の管理職位者ですら事業運営に関わる意思決定に参加していない、つまり経営参画していないという事情が浮かび上がってくる。ほんの一部のトップが決定した事を多くの職員が実行する図式であり、ここに指示待ち体質が生まれてくる。このような環境の中では、積極的な経営参加は望めようが無く、企画提案や改善提案等ほとんど期待出来ない職場環境となっている。利は元にありそこで対策、実施すべきは経営体は一事業体ではなく、事業体を構成する各部門であるとし、各部門こそ、一経営単位として業績管理を実施すべきと考えた次第。医療機関にて構成する各部門を一単位とし、その単位毎に業績管理を実施する。これを月次にて集計し、会議にて報告する仕組(システム)を構築する。月次「報告シート」として作成する訳である。この報告シートの内容は概ね以下の通り。
管理報告 | 部門の目標 |
部門の人員構成 | |
部門業務資格者の法令定員と実績 |
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労務現況(残業 入退職者) | |
医療事故管理(ヒヤリ、ハット件数等) |
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実績内訳 |
(当月の)収入 |
各管理項目(職員一人当たり 日当点、収入内訳分析資料等) | |
3.16%減 |
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マーケット資料 | 疾病別 |
地域別 | |
男女別、年代区分 | |
ここまでは数字管理であり、これを補足する資料として「月次活動報告シート」を添付する。これは文章で報告する仕組みとなっている。内容的には
- 対策の実施 ※当月にて実施、対応した事。
- 実施対応しての問題点。
- 翌月対策 実施すべき事。
にて構成。「業績管理シート」を表とすると、この「月次活動報告シート」は裏として、業績の裏づけ、対策実施の推進を図る。この表裏一体の報告シートによる活動で、各部門が経営体として位置付けられる。このシートを毎月次、会議にて報告、討議する事で各部門の運営実態を明らかにし、全部門相互の情報を把握、一体となって運営してゆく組織対応が実現する。
情報を共有化する事で、ロイヤルティも期待出来る職場風土が醸成されてゆく。
● 会議報告シート (PDFファイル A4 1枚)
● 月次活動報告シート (PDFファイル A4 1枚)
継続こそ力
月次運営の会議の中核となって事業体の活力となっている事が事業体の体質となって来ている。このシステムが定着し、安定した事業体(医療機関)は次のステップに移行する。ある大きな問題を内包しているからである。この事は次号にて紹介・解説する。